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『淋しい狩人』感想|見えてるけど見えない現実。本が引き起こすミステリー

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宮部みゆきのミステリー作品といえば、誰もが知ってる有名な作品は数知れず。

模倣犯』をはじめドラマ化や映画化、アニメ化された作品も数多くある有名な作家です。

個人的には、怪奇的なミステリかつ時代小説を書くイメージの強い作家です。

ミステリーや時代劇が好きな私ですが、実は宮部みゆき作品を読んだのは、この『淋しい狩人』が初めてでした。

きっかけは、タイトルの印象と、裏面のあらすじのギャップを感じて興味が湧いたのを覚えています。

そして、私がこの本を読み終わった後に思ったこと。

「こんな本がもっとあればいいのに」

でした。

最後の印象は、なんだかすっきりした感覚もありつつ重たい感情もある、だけど満足感が感じられる面白さでした。

クスっと笑う面白さではない、なんとも表現しがたい、面白さなのです。

『淋しい狩人』が私と相性が良かった本だったのか、それか宮部みゆきの不思議な世界に完全にハマったともいえるかもしれません。

そんな思い入れのある一冊を今回はご紹介します。

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『淋しい狩人』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトル淋しい狩人
著者宮部みゆき
出版社新潮社
出版日1997年2月1日
ジャンルミステリー

本書の主人公は、東京の下町にある古本屋を営む雇われ店長の通称イワさんと孫の高校生の稔が、本をきっかけに引き起こされる事件や謎を解いていく物語。

『淋しい狩人』は連載短編集なので基本的には一話完結です。

一話一話、読み終わると、謎にある人の温かさや悲しさを感じることができます。

でも、それだけではない、日常とは違うアンバランスな世界もありました。

現実だけど、非現実的な世界があちこちに隠された、ある意味怪奇的な部分もあるのが魅力です。

『淋しい狩人』のあらすじ

本書は、宮部みゆき作品の中でも、穏やかな雰囲気のあるライトなミステリー小説です。

主人公であるイワさんと孫の稔が、直接事件に立ち会うという殺伐としたシーンはあまりありません。

この物語では、イワさんと稔と、事件や謎の間には必ず「本」が介されています。

「本」が引き起こす事件や謎は人の本性を暴き出します。

短編集ながらも、一話一話読み応えがある作品でした。

東京下町の古本屋で起こる、本が引き起こす謎

東京の下町にある古本屋・田辺書店で、本をきっかけに事件や謎が生まれます。

本書の主人公の通称イワさんは、齢65の下町の古本屋の店主です。

すごい頑固ではないけど、利発なおじいちゃんといった印象です。

事件の謎をイワさんと一緒に解き、見届けているのが、イワさんの相棒的存在の孫の稔。

本好きで年の割には利発で知的な印象の子です。

その反面、野球帽を被って少年さを感じさせる風貌で、イワさんのお店を手伝いに毎週泊りに来たり、イワさんをからかって怒られてみたりと、おじいちゃんっ子で、素直で可愛らしい印象もあります。

また、たまに登場する前店主であった友人の息子で、刑事の樺野も加わって、田辺書店に持ち込まれる『本』がきっかけにして起こる事件、謎を解決していくミステリー小説です。

温和の中に隠された怪奇、人間の卑しさと狂気さに驚愕

『淋しい狩人』は、温和な雰囲気を漂わせながら、事件が解決されていく様は意外にあっさりしていて、事件の真相も込み入ったところはあまりない短編ミステリーだなと最初は感じました。

しかし、よく考えたら事件の真相はほっこりと聞ける内容でなく、とても人の卑しさや狂気的な部分が隠れていることに驚きます。

ありきたりな言葉ですが、見えない何かではなく、一番怖いのは人間であると感じさせる作品でした。

現実と非現実のアンバランスさが絶妙

『淋しい狩人』の最初に収録されている「六月は名ばかりの月」は、事件の真相は人の卑しい部分が生んだものといっていい内容でした。

ただ、どこにでも居そうな仲良しのおじいちゃんと孫が、残酷な真実を語って、最後は

まあ、いつもだいたいこんなものなのである

の一文で終焉させる。

主人公のイワさんと稔が事件の真相を後日を語るわけですが、なぜか事件の残酷さを感じさせないところが何とも不思議なのです。

この快活なおじいちゃんと子どもの稔が事件を語ることで、事件の謎の怪奇的ところや人間の怖い部分を中和させてくれているわけです。

普通の日常では経験できない事件に遭遇したにも関わらず、二人の会話のテンポによって、日常へと引き戻されていく感覚が気持ちが良い。

この日常と非日常のアンバランスな世界を調和させ、終いには穏やかな空間へと戻してくれる感覚が、読んでる側を変に麻痺させている気がして、それがたまらなく面白く感じるのです。

これは作者である宮部みゆき先生の世界観なのか。

他のミステリー小説では感じたことがない、すっきりしつつも、不思議な余韻も残していく感覚を体験させてくれます。

『淋しい狩人』を読んだ感想

『淋しい狩人』は、どれも読みやすく、謎も難しくない、すっきりと終われるものが多いのが特徴です。

ただ、中には謎を謎のままで終演を迎える内容もあり、宮部みゆき先生が好きな怪奇的な雰囲気を漂わせているように感じました。 

最初にも書きましたが、この本は残酷な事件や謎が、田辺書店の描写とイワさんと稔の会話でうまく調和されているように感じます。

快活にテンポ良く話がすすむ落語のようで、後で考えるとなんともいえない不思議さを感じさせるのはなぜなのか。

その不思議さは、まるで怪談話を聞いたような後の背中を冷っとさせる、そんな余韻を残す本でした。

本書の内容については詳しくいえませんが、全編通していえることは『本』を通じて見えてくる、何の変哲もない日常にこそ、人間という生き物の生々しさ、狂気さ、社会で生きる息苦しさがあちこちに潜んでいるということが伝わってきます。

主人公イワさんと稔の家族愛

本書には、事件を解決するだけでなく、家族愛の描写もあるせいか、読者に親近感や温和な雰囲気を与えてくれます。

『淋しい狩人』をほのぼのとした内容と評価する方もいますが、それはこういった背景が描かれているからだと思います。

事件とは別に、高校生の稔が、年上のホステスの女性と付き合っていることがきっかけで家族に亀裂が起きます。

それを知ったときの稔の母の怒りや、祖父としてのイワさんの複雑な心境が切なく、恋愛に一直線になっている稔のふと出た言葉で、今までの家族やイワさんとの関係が崩れていく様子はサイドストーリーとして、読者を楽しませてくれます。

イワさんの複雑な心境はとても見ていて親近感を湧く人もいるのではないでしょうか。

また稔の恋愛も、ありえないと思いつつも、現実にはあり得そうな恋愛。

ハラハラさせられる恋愛は読者側も興味をそそられます。

それぞれの短編話の中で、事件だけでなく、こういった家族問題が平行して描かれているためそれぞれの短編にも繋がりができて、一話完結にならずに、読者を離さない工夫を感じました。

見えてるものを見えないものとして見る社会

読んだ後、なんだか背中を冷っとさせられるような感じがあると書きましたが、それを感じさせた話は本書の第5編「歪んだ鏡」がその代表です。

この話に登場してくる女性・由紀子が一冊の「本」を手にしたことから、イワさんをはじめ、ある男女へと繋がっていき、その繋がりで生み出された謎を由紀子が追っていく話。

謎としては、とてもシンプルなものですが、本来の事件の真相は分からないままで話は終焉を迎えます。

この話で注目したいのは、主人公イワさんではなく由紀子目線で話がはじまるところです。

由紀子は、この現代社会を生きる大人たちを表現している女性に見えました。

あんたの容姿に釣り合う人生などこの程度のものだと。どんな嬉しい驚きも、あんたの前には待っていないと。   

(中略)

箱のなかのカビかけたみかんのように、無造作に選別され、脇に退けられた娘―—それが自分だと、彼女は思っている。

そして、目の前にある鏡をのぞきこむことをやめない。

そこに映し出されているものを信じることをやめようとしない。

泣きもせず、笑いもせず、ただのぞきこんでいる。

そして、その鏡が歪んでいることを知ろうともしない。それが久永由紀子という娘だった。                                                                                                                

『淋しい狩人』本文より引用

読者である私自身もこの一節には色んな部分で胸を突かれました。

この社会の中で生きる息苦しさと、自分や社会への諦め、でも希望を見出してしまう自分の諦めの悪さ。

由紀子と同様、現実を知ろうともしない感覚に共感できてしまいます。

また、社会の中で生きる人の嫌な部分も見えたように思います。

例えば、コンビニや路地裏で誰かが不良たちに囲まれてカツアゲされそうになっているのを見たとき。

学校でクラスの一人がある集団にいじめられているのを見て知ったとき。

私たちは、それを見てどうしますか?

色んな考えがあると思いますが、少なからず心のどこかで、我々は見えているものを見えないものとして見る節はないでしょうか。

そんなところが、由紀子という人間の存在から、社会の残酷な部分を感じた一節だったので胸を突かれたわけです。

宮部みゆき先生が、どんな意図をもって書かれたのかはわかりませんが、ただ由紀子はある場所で出会った『本』をきっかけに、由紀子は考えて行動し、少し自分を変えようとします。

由紀子の行動によって、その『本』に隠された男女の真実を知り、さらにイワさんの元にたどり着くことになるわけですが、現実を知ったとき、そこにあった現実を知ってよかったのか、やはり知らないままがよかったのか、由紀子はどう思ったのかと考えさせられる内容でした。

また、謎に関しても、謎の真相がさらに謎で終わるというもどかしさ。

何とも冷っとして、まるで怪談話を聞いた後のような後味でした。

「淋しい」とはなにか。

この本を手に取ったきっかけは、先にも述べた通り、タイトルとあらすじのギャップに興味を惹かれたからでした。

この本を読み終えて、「こんな本があればいいのに」と思ったのと同時に、なぜ「淋しい」と表現したのか、疑問が湧きました。

ちなみに、『淋しい狩人』は本書の短編の1つとして収録されています。

『淋しい狩人』というのは物語の中では、安達和郎という作家が書いた未完成のミステリー小説のタイトルなのです。

この安達和郎が書いた未完成の「淋しい狩人」という本がきっかけで事件が起こります。

物語の詳細はいえませんが、事件の真相を知ったとき、社会の中で生きる人の孤独感、不安、悲しさ、怒り、生きる辛さなど、そういったマイナスな感情が静かに皆の心の中に隠されているように感じました。

まさしく、この「淋しい狩人」の事件の犯人は社会から外れた者、目的を定めて着実に獲物を捕らえようする狩人のような犯人でした。

そして、サミシイ人物でもありました。

「サミシイ」には、「寂しい」と「淋しい」という字があります。

意味を調べると、「寂しい」は、静寂や侘び・寂びといった、状況や様子を表すときに使うそうです。

「淋しい」は、漢字の旁をみてもらってもわかるように、さんずいが「涙」を表し、涙が出る位に気持ちがさびしいときに使われる言葉とあります。

私の勝手な解釈になりますが、イワさんや稔をはじめ、本書に登場してくる人々の心情を考えると、誰もが何かしらのこの「淋」しさを抱えているように感じました。

全編そういった点が共通と考えると、このタイトルの意味にはそういった背景があるのかと個人的に解釈しました。

『淋しい狩人』はどんな人におすすめ?

ミステリー小説が好きな人は、海外でいえば古典的ですが、アガサ・クリスティーやコナン・ドイルの作品、日本のミステリー界で人気作家の東野圭吾作品、森博嗣作品などがありますね。

それぞれの作家には、やはり独自の視点や特徴を持ったミステリーがあります。

今回ご紹介した宮部みゆき先生は、じっくり謎解きをしていくものからライトな謎解き、社会派な内容からファンタジーまで、本当に幅広い作品が多いです。

今回の『淋しい狩人』は、宮部みゆき作品の中ではあまり注目されてない作品だと思いますが、私はぜひこんな方に紹介したいと思っています。

  • まだ宮部みゆき作品を読んだことがない人
  • ライトな謎解きがすきな人
  • 『本』をキーワードとした内容が好きな人

読書好きな人でも、やはり好みがあります。

私は、特に好みがはっきりしているタイプで、恥ずかしながらミステリー小説が好きでも『淋しい狩人』を読むまで、宮部みゆき先生のミステリー小説を読んだことがありませんでした。

『淋しい狩人』はミステリーとしては、全体の謎解きの部分がとてもライトな方だと思います。

なので、とても読みやすいので、まだ宮部みゆき作品を読んだことない方には、ここからはじまるのも良いと思います。

しかし、前述で、日常の中に隠された人の卑しい部分や残虐な部分が見え隠れしていて、よくよく考えたら冷やりとさせられる、不思議で怪奇的な部分がありますので、とても満足感が得られる内容でした。

宮部みゆき作品のライトに見せかけての隠された物語の奥深さをぜひ味わっていただきたいです。

最後に、『本』をキーワードにした話が好きな方にぜひおすすめです。

この視点も私が本を選ぶ基準でもあるのですが、本という存在が主となって物語が展開していく話は、ファンタジーな要素があって、さらに違う次元に導いてくれるので、個人的にはとても好きなキーワードなのです。

ミステリー小説ではありませんが、有川浩作品『図書館戦争』や三浦しをん作品『舟を編む』、小田雅久仁作品『本にだって雄と雌があります』。

また、今年刊行された深緑野分作品『この本を盗む者は』に興味がある方、読まれたことがある方はぜひ『淋しい狩人』もお手にとってみてください。

おわりに

『淋しい狩人』を読んだ後、このライトなミステリーの見どころはどこなのか、よく考えてみました。

私は前述で「淋しい」となぜ表現したのかという疑問に、本書に登場してくる人々には心のどこかに何かしらの淋しさを抱えている人が多かったから、と解釈しました。

何に淋しさを感じるのか。

私は、現代社会には「見えているけど見えないものとして見る」風潮が、その淋しさを生んでいるように思えました。

本書で伝える「淋しさ」とは社会のそういった風潮の淋しさなのではないか。

私の深読みな感想かもしれませんが、そんな風に感じました。

私たちは、現代の社会の中で生きていると、「世界には自分ひとりしかいないんじゃないか」と錯覚してしまうくらい、時々孤独や悲しさ、淋しさ、生きづらさを感じたりしたことがありませんか?

本書はミステリー小説ではありますが、そんな社会の中で生きる人たちが存在していることを教えてくれる作品だと感じました。

ミステリーだけど何かの教訓を残し、これを巧みに言葉の海に沈めてしまう感じが、宮部みゆき先生作品の特徴のひとつかと思います。

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