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『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』感想|母の死…いつか確実にくるその時を静かに真っ直ぐに描く愛の物語

当たり前にいつもそばにいる人。

いなくなることなんて考えられない。

死ぬことのない人なんてこの世にいないとわかっていても、それは今ではないと信じてやまない。

それが確実に迫っていると知った時の絶望と恐怖。

この物語のテーマは母親の死ですが、決して悲しいだけでなく、笑いも交えユーモアたっぷりに家族の温かさが描かれています。

自分が生まれてきてから母親が亡くなるまでを、リリー・フランキーならではの丁寧で感じたままの表現に、自分と重ね合わせながら一気に読みすすめてしまうことでしょう。

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『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の概要

出典:Amazon公式サイト

タイトル東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
著者リリー・フランキー
出版社株式会社扶桑社
出版日2005年6月30日
ジャンル自伝的長篇小説
  • 文章家、小説家、コラムニスト
  • 絵本作家、イラストレーター、アートディレクター
  • デザイナー、作詞・作曲家、構成・演出家
  • ラジオナビゲーター、フォトグラファー…

など多彩なジャンルて活躍するリリー・フランキー。

この作品は母親との半生を綴った、自身初めての長篇小説です。

「泣き顔を見られたくなければ電車の中で読むのは危険」

などの口コミで200万部を超えるベストセラーとなり、

「本屋大賞2006」の大賞も受賞、テレビドラマ化、映画化、舞台化までされました。

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』のあらすじ

福岡の小倉、主人公のボクが4歳になる頃、オカンはボクを連れてオトンの家を出ます。

女手ひとつでボクを育て東京の大学まで入れます。

ボクは大学を卒業し自堕落な生活をしながらも、ようやくコラムやイラストの仕事が軌道に乗り始め、オカンを東京に呼んで一緒に生活をしようとしますが、

そこでオカンの体は病に冒されていると知らされるのです。

家族で暮らした3年間の記憶

オカンとオトンと3人で暮らした時の記憶が4歳になる頃までしかなく、ボクはその3年間を鮮明に記憶しています。

「後にも先にも、起き抜けに焼き鳥を食ったのはあの時だけである。」

オトンは酒乱で酒に酔ってはいたるところで暴れていました。

土産にと持ち帰った焼き鳥を、夜中に寝ぼけている息子の口に無理やり入れて、食べさせるようなぶっ飛んだオトン・・・

こんな調子のオトンなので、この物語にまさに時々登場しては、強烈な印象を残していきます。

東京での自堕落な生活

母子家庭で決して楽ではない暮らしを送りながらも、オカンの愛情を受け育ってきたボク。

高校はオカンを自由にしてあげなければという気持ちから、大分の美術の高校に進学し、一人暮らしを始めます。

その後は武蔵野美術大学に合格し、東京で暮らすこととなります。

毎月月末にオカンから送られてくる仕送り、そのたび「頑張りなさいよ」と言われても何を頑張ればいいのか、この先の未来になにがあるとも思えず、ただただ自己嫌悪と劣等感が募る毎日を過ごしていました。

その後単位が足りず留年することになり、オカンも頑張るから頑張りなさいよと言われ、5年かけて卒業することになります。

もともと就職する気はなかったのですが、留年までさせてもらって申し訳ないと音楽制作プロダクションの面接を受けるのですが、面接官の横柄な態度にわざわざ来たことがバカらしくなり、就職はしないと決めます。

オカンからのガン宣告

ある時はガスも電気も水道まで止められる生活までしていましたが、フリーでのイラストやコラムの仕事が起動にのり、バイトをしなくても食べていけるようになります。

そんな時にオカンからのガン宣告・・・

それだけではなく、子供の頃から可愛がってくれた、オカンの弟の京一おじさんがガンで亡くなり、身内の死や母親が病気になるという、誰にでも起きることを目の当たりにし、実際にその現実が自分の眼前に現れるまでリアリティを感じていなかったことに気づきます。

やっと三度のご飯を自分の力で食べれるようになった時には次の課題がまちかまえている。

しかも簡単には解決のできない問題…

自分だったらどうするのだろう、どう感じながら生きていくのか、リリー・フランキーのありのままの感情と重ね、いつか来るその日までをもっと大切に過ごさなければ!

と一番大事なことに気づかされる愛の溢れる物語になっています。

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』を読んだ感想

家族の死をテーマにした物語はたくさんありますが、この物語は別物です。

自伝的小説ならではのでドキュメンタリー性、そのものを真っ直ぐにとられえ描いていることに、一本筋の通った揺らぐことのない美しさと強さを感じます。

母親の見本のようなオカン

「ボクのものばかり買って、自分のものを買っている様子がない。」

「ボクひとり食べるだけの食事でも、何品もおかずを並べた。」

「朝食に食べるぬか漬けのために、いつも目覚ましで夜中、明け方に起きていた。」

オカンはばあちゃんから分けてもらった「ぬか床」を大切にしていたそうで、美味しいぬか漬けを作るため、食事をする時間を逆算してぬかに漬けるので、夜中に一度起きて、野菜を漬けてからまた寝ることもあったと書かれていました。

この本を読んでいると、オカンのぬか漬けが食べたくなります・・・

愛情がないとできないことをサラッとやってのけてしまう、親なら当たり前のようだけれど、でも決して簡単ではないことをやってくれる母親のありがたみをこの本を読んで知ることができました。

自由奔放なオトン

この物語を読んでいると、このオトンでなければオカンはこんなに苦労せずにすんだのでは?と思ってしまいます。

でもそんなことを他人が思うのも余計なお世話で、ボクにとってはやはりただ一人のオトンで、オカンとオトンがいたからボクが生まれ、この物語が生まれたということを考えると、オトンに感謝せざるを得なくなってしまいます。

そしてこのオトンは、ボク(リリー・フランキー)と一緒で芸術の才能があり、この本の扉題字を任されています。

なんだかんだ言いながらも物語を超え続いていく親子関係を感じ、その題字を見た時にとても感動しました。

完璧な親孝行はない

ボクはオカンに「ありがとう」と直接言えなかったことを後悔していました。

「どれだけ親孝行してあげたとしても、いずれ、きっと後悔することでしょう。あぁ、あれも、これも、してあげればよかったと。」

満足のいく親孝行なんてもともとないのかもしれません。

でも旅行や買い物は、金銭的な理由や時間に限りがあったとしても、感謝の気持ちを伝えることならいつでもできることです。

とは言っても急に言おうとしても恥ずかしいかもしれません。

だからこそ誕生日や母の日、感謝を伝える日にはしっかりと気持ちを伝えようと肝に銘じました。

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』はどんな人におすすめ?

この物語は一言で言えば母親と息子の愛が溢れる物語です。

この中に登場するオカンだけが何も特別ではなく、世の中の母親はこんなにも温かいのだと、自伝的小説ならではの細かい描写により感じることができます。

特に以下にあてはまる方はぜひ読むべき一冊です。

  • 夢を目指し上京した人、または上京の予定がある人
  • ノンフィクションの作品が好きな人
  • 家族がテーマの作品が好きな人
  • 家族とケンカした人

多くの人が上京を夢見たことがあるのではないのでしょうか。

または上京して何年も経つかたもいらっしゃるかもしれません。

この物語は東京に憧れたボクが主人公で、自分と重ね合わせて読むと、自分ならどうするのだろうと、考えながら読むととても面白いです。

自伝的小説なので、ありのままの表現が興味深く、飽きたり間延びしたりするページがなく、食い入るように読めてしまいます。

飾らず、どんなに泥くさいことも家族と一緒に過ごし、ケンカしたりそばにいたくなくても、決して心までは離れられない家族のリアリティーを感じる作品です。

おわりに

作者は母親が亡くなることについてこう記しています。

「ボクが子供の頃から一番恐れていたこと。宇宙人の襲来よりも、地球最期の日よりも恐れていたこの日。」

親の死に対しての恐怖心が伝わってくる一文です。

作者は母親への想いをとても細かく表現しているため、読んでいるとこのオカンに惹かれ、旅立ってほしくないと心から願い読んでいる自分がいます。

冒頭に書いた

「泣き顔を見られたくなければ電車の中で読むのは危険」

の口コミは本当で、後半はもう涙無しでは見られません。

苦しいくらいに涙が止まらなくなってしまいます。

小説で、しかも知らない人の母親の死でここまで悲しいのなら、自分の母親ならどうなってしまうのだろうと思ってしまいます。

親がいて当たり前、心配してもらって当たり前、帰る場所があって当たり前。

この当たり前ではないことを、当たり前と思わせてくれる親に感謝の気持ちを伝えても伝えきれないこと、本当にたくさんのことをこの本から教わりました。

ただただ感謝です。

ぜひ読むときは、一人で誰にも見られずに読むことをおすすめします。

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