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『ウツボカズラの甘い息』感想|柚月裕子が物語に仕掛けた甘い罠

皆さんはウツボカズラをご存知でしょうか。

作品のタイトルともなっているウツボカズラは、熱帯に生息する食虫植物。

袋のある見た目が印象的なこの植物は、甘い蜜の匂いで虫たちをおびきよせ、かかった獲物を自身に吸収してしまいます。

この作品は、そんなウツボカズラのように、甘い話に誘われ、自ら事件へと足を踏み入れていく主人公の様子が描かれたリアリティ溢れる物語です。

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『ウツボカズラの甘い息』概要

出典:Amazon公式サイト

タイトルウツボカズラの甘い息
著者柚月裕子
出版社幻冬舎文庫
出版日2018年10月10日
ジャンルミステリー

日常生活や人間の心の脆さを圧倒的なリアリティーで描いた、柚月さんのミステリー長篇。

本作は、SKE48・乃木坂46の元メンバーである松井玲奈さんが文庫巻末の解説を書いたことでも話題の一冊です。

小説と一緒に、ぜひ解説も併せてお楽しみください。

『ウツボカズラの甘い息』のあらすじ

この物語では、2つのストーリーが同時に進行していきます。

点と点が1つに交わったとき、そこにはどんな真実が見えてくるのでしょうか。

徐々に明らかになる真実は、驚きの連続ですよ。

始まりは同級生との再会

学生時代、美人と評判だった主人公の高村文絵は、結婚生活や育児ストレスが原因で、その美貌をすっかり失ってしまいました。

そんな文絵にとって、唯一の楽しみは懸賞。

ある日、応募していた懸賞に当たった文絵は、ある大物タレントのディナーショーに行くことになり、中学の同級生・加奈子と再会することとなります。

おとなしい印象だった学生時代とは違い、美しく変貌を遂げた彼女。

後日、鎌倉の別荘に招待された文絵は、加奈子が高級化粧品のビジネスに携わっていることを聞かされ、その化粧品ビジネスを手伝ってほしいと依頼されるのです。

そして文絵は、彼女の仕事を手伝い始めたことをきっかけに、徐々にかつての美貌を取り戻していきます。

鎌倉で起こった殺人事件

ある日、鎌倉にある貸別荘で田崎実という人物の死体が発見されます。

田崎は株式会社コンパニエーロという美容に関する会社の経営者でした。

事件を追う刑事たちは、派遣社員として働いていた2人の女性の話から、リュミエール化粧品の代表・高村文絵という人物の存在を知らされます。

さらに、鎌倉の別荘周辺からの聞き込みで浮かび上がってきたのは、サングラスをかけた女。

こうして警察は、文絵が重要な容疑者であると狙いを定め、調査を進めていくことになりました。

襲いかかる数々の悲劇

引き受けた仕事を一生懸命にこなす文絵でしたが、加奈子のフランス行きがきっかけで、その仕事は一時中断となりました。

地獄の日々はここから始まります。

その頃から、文絵の元には知らない番号からの電話が頻繁にかかってくるようになりました。

その電話はどれも、上場予定のリュミエール化粧品の株を買ったがどうなっているのかという内容ばかり。

加奈子に確認の連絡をとろうと試みる文絵ですが、電話は全く繋がりません。

文絵の身に一体何が起こっているのか、そして文絵は今後どうなってしまうのでしょうか。

『ウツボカズラの甘い息』を読んだ感想

些細なことがきっかけで、日常に綻びが生じることを改めて私たち読者に気付かせてくれるこの物語。

どこかリアリティのある主人公の感情描写は、私たちをより物語の世界へと引きずり込んでいくように思いました。

主人公と警察サイドで展開される2つの物語が、どこでどう繋がっていくのかが気になって、つい一気に物語を読み進めたくなってしまいました。

日常で起こりそうな絶妙な危うさ

「うまい話が簡単に転がっているわけがない」ことは誰もがわかっているはずなのに、それを確かめてみたくなるのもまた人間の心理。

特に女性であれば、いつまでも美しくありたいと思うのはとても自然なことのように思います。

この作品では、誰もが持っているであろうそんな心の脆さにつけ込む形で、様々な事件が起こっていきます。

あれよあれよという間に事件に巻き込まれてしまう様子を見れば、自分も気を付けよう…なんて思わずにはいられないはずです。

注目したい登場人物

文絵のストーリーと鎌倉の事件を繋げるキーワードとなるのが、サングラスの女。

文絵の同級生を名乗る加奈子は、顔の傷を隠すために、いつもサングラスを掛けていました。

  • 加奈子がサングラスの女なのか?
  • そもそも加奈子は何者なのか?

加奈子への疑問は、ページをめくるたびに次々と浮かび上がってきます。

そしてその真実を追うのが、神奈川県警捜査一課の刑事・秦圭介と、鎌倉署強行犯係の美人刑事・中川菜月。

物語の中で繰り広げられる、テンポの良い2人の掛け合いにも注目です。

続々と明らかになる衝撃の真実

ミステリー作品の醍醐味は、やはり伏線の回収にあると思いますが、この作品も徐々に真相に近付いていく中盤から後半にかけての展開が、特に面白いと感じました。

次々と明らかになる想像以上の真実に、読む手を止めることができなくなってしまいますよ。

『ウツボカズラの甘い息』はどんな人におすすめ?

著者の甘い罠は、物語にいくつも散りばめられています。

ストーリーがひっくり返る「どんでん返し」とはまた少し違う、いつのまにか著者の掌で踊らされていたような「騙し」は、この作品の楽しみのひとつ。

そんな本作は、こんな方におすすめです。

  • リアリティ溢れるミステリー作品を楽しみたい人
  • 読み応えある長編作品に触れたい人
  • 物語の伏線回収を楽しみたい人

540ページと文庫にすると少し分厚い一冊ですが、物語の続きが気になって、知らず知らずのうちに最後まで読み終えてしまうはずです。

おわりに

ウツボカズラの甘い息。

それはまさに、「うまい話には裏がある」ということを上手く喩えたタイトルであると感じました。

また、ウツボカズラには「甘い罠」や「からみつく視線」といった花言葉がつけられているのだとか。

筆者が仕掛ける巧みな罠に、あなたも騙されてみませんか。

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