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『ティモシーとサラ ありがとうのおくりもの』感想|切なくあたたかい友情の物語
今回ご紹介する絵本は、双子のこねずみ、ティモシーとサラの日常を描いた心温まる絵本です。 ティモシーとサラのえほんシリーズは、1989年に一作目が刊行されてから現在まで、長い間愛され続けてきました。 その中で今回選んだエピソードは、シリーズの11... -
『もしものせかい』感想|ヨシタケシンスケが描く大人に読んでほしい心に染みるやさしい絵本
もしもお金持ちだったら、もしもあの人に生まれていたら、もしもあっちを選んでいたら・・・ 誰でも一度は「もしも」のせかいを想像したことがあるでしょう。 考え出したらきりがないかもしれません。 この絵本は「もしもなにかをなくしたら・・・それがも... -
『古都』感想|古都の移りゆく季節とともに紡がれる双子姉妹の物語
川端康成といえば日本を代表する小説家で、その名前を一度は聞いたことがあるでしょう。 けれど小説をまだ読んだことがない方にとっては純文学のイメージがあり、読みにくいだろうと思っているのではないでしょうか? しかし川端康成の文章はとても読みや... -
『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』感想|子どもも大人も効果抜群
今回ご紹介する絵本は、子どもの寝かしつけの味方として数々のメディアでも取りあげられていた話題作です。 かくいう私も、一時期、子どもの寝かしつけに苦労し、藁にもすがる思いでこの絵本を手に取りました。 私達親子にはとても効果があったのですが、... -
『ウツボカズラの甘い息』感想|柚月裕子が物語に仕掛けた甘い罠
皆さんはウツボカズラをご存知でしょうか。 作品のタイトルともなっているウツボカズラは、熱帯に生息する食虫植物。 袋のある見た目が印象的なこの植物は、甘い蜜の匂いで虫たちをおびきよせ、かかった獲物を自身に吸収してしまいます。 この作品は、そん... -
『氷菓』感想|少し変わった青春ストーリーを楽しむならこの作品
勉強に部活動、恋愛を頑張ることはまさに青春時代の醍醐味ですよね。 この物語の主人公はそんな青春とは少しかけ離れた、省エネ主義を貫く男の子。 ひょんな出会いをきっかけに、省エネ主義の男の子が学生生活の謎に挑むことになります。 一風変わった青春... -
『少女不十分』感想|歪な小学生の少女と男子大学生との逆転監禁生活
筆が早く、多作な作家として有名な西尾維新さん。 「この本を書くのに、10年かかった」 彼がこの「少女不十分」という小説をこのように語る理由は読めばわかります。 この本は西尾維新という作家が好きであればあるほどに味わい深い作品ですが、もちろん西... -
『掏摸』感想|なぜスリなのか?強固な世界に抗うということ
2005年『土の中の子供』で芥川賞を受賞した著者は、この作品で2010年大江健三郎賞を受賞します。 そして『掏摸』はアメリカをはじめ各国で翻訳され、米誌「ウォール・ストリート・ジャーナル」で2012年年間ベスト10にも選ばれています。 各国で評価され、... -
『エリック』感想|「お国柄」という言葉がキーワード
「異文化理解」「多文化共生」 結構前から、このような言葉をよく耳にするかと思うのですが、 実際に、異なる文化を持つ相手とうまく関わっていくことは、決して簡単ではないと思います。 つい、こちら(受け入れる側)のやり方に従ってもらおう、という考... -
『その女アレックス』感想|監禁された女性の衝撃の真実、その正体とは
監禁・幽閉されてしまったアレックスという名の女性。 彼女を救出するために警察は動き出します。 しかし、熟練の刑事は被害者であるアレックスに違和感を覚えるのでした。 監禁場所からの脱出劇、それすらもこの小説の序章に過ぎません。 アレックスとい...